非常扉は、非常になってこそ開くもの

 

非常扉

　

普段は見向きもされない

　

さあ、やばい

　

やばいよ、やばいよ

　

なんてとき

　

ついに非常扉が開く

　

　

　

それまでは

　

非常扉なんて

　

あってもないようなもの

　

壁と一体化している

　

　

　

　

　

人間のありようは

　

出口のない迷路の中を

　

行ったり来たりさまよっているようなもの

　

　

　

A地点にいるときは

　

B地点に行ったら幸せになれると考え

　

B地点に行ったらば

　

今度はC地点に行ったらばもっと幸せになれると考える

　

　

　

そうして生と死を繰り返し

　

迷いに迷い尽くし

　

ついに一念発起する

　

　

　

ここから出たい！

　

　

　

この迷路から抜け出したい！

　

　

　

そんな願望が出てくるまで

　

　

　

一体どれくらいの季節が巡るものか

　

　

　

自分が迷路の中にいる

　

そうやって自覚するまで

　

本当に長い年月がかかる

　

　

　

　

　

　

それでも

　

さあ、ここから抜け出そう

　

そう決心したところで

　

なかなか出口は見つからない

　

　

　

あっ！Z地点に行ったら出口があるかも！

　

A地点からZ地点へと駆け抜けたり

　

結局同じことを繰り返しているだけかと

　

絶望したり

　

そしたらば

　

どこに行くのもやめて

　

ひとりで座りこんでみたり

　

思いつく限り

　

やりたいことに取り組んで奮闘する

　

　

　

それもそのはず

　

出口は

　

まさか

　

「ここが出口だよ♪」

　

とか看板が貼ってあったりしない！

　

　

　

出口は

　

非常扉のように

　

壁と一緒になって隠れている

　

　

　

　

　

　

　

だから

　

よ～く見る必要がある

　

　

　

これは壁なのか？

　

しっかり目を凝らして

　

歩く必要がある

　

　

　

今までは

　

闇雲に走り回って怪我していた迷路の中を

　

一歩一歩

　

注意深く目を凝らして

　

ちゃんと見て歩く

　

　

　

そのうち色んなことに気がつきだす

　

あっ！

　

昔引っかかったB地点

　

これは罠だったんだな～とか

　

　

　

あっ！

　

このC地点というやつ

　

ここに入ったらば

　

自動的にG地点まで飛ばされる構造になってるぞ！とか

　

　

　

そうやって迷路の構造が

　

みるみる見えてくる

　

　

　

構造が見てきても

　

なぜか引っかかるところには

　

相変わらず引っかかる自分にも気がつく

　

　

　

分かっちゃいるのに

　

なぜかC地点に足が向くぜ～

　　

クッソ～

　

ここの看板に俺好みの女の絵が書いてあるからだな！

　

　

　

そうやって？

　

一つ一つ理解しながら迷路を進むようになる

　

　

　

そして

　

一歩一歩歩き続けるある日

　

突然

　

迷路の外に出ていることに気がつく

　

　

　

あ！

　

出た！

　

出たんだ！

　

　

　

出たら必ず分かるようになっている

　

　

　

出てはじめて分かる

　

あ～

　

俺の力だけでは

　

出口は見つけられなかったわけだよって

　

　

　

外からの力も働かない限り

　

その非常扉は普通開かない構造だ！

　

　

　

でも、出てみて明らかになる

　

今までも

　

何度か開いていたぞ！

　

っていうことに

　

　

　

今までも開いていたにも関わらず

　

出たい！っていう意識が全くなかったから

　

迷路の中のトラップに完全に気をとられていたから

　

非常扉が開いたのがチラッと目に入っても

　

それと気がつかなかっただけだった！

　

そうやって腑に落ちる

　

　

　

　

　

　

でも、この迷路

　

おかしなことに

　

一度出ても

　

また気がつくと

　

迷路の中にいる・・・なんていうことがある

　

そんな不思議な迷路だ

　

　

　

でも

　

たとえ一度でも

　

その迷路から出たことがあるのなら

　

今度はジタバタしない

　

　

　

また

　

出られるって

　

確信がある

　

　

　

そして今度は

　

スルッと

　

そこから出る

　

　

　

そうやって

　

この迷路をマスターしていくんだ

　

　

　

　

　

　

　

この迷路の名前を

　

マインドという

　

君の頭の中にある迷路だ

　

　

　

出口のない迷路だ

　

　

　

でも

　

非常扉は

　

ちゃんとある

　

　

　

探したからって

　

見つかるものではない

　

でも

　

探さない限り

　

普通見つからない

　

　

　

外から

　

非常扉を開ける力は

　

いつだって働いている

　

　

　

そこに気がつけるための

　

感性

　

もしくは知性

　

もしくは野生の勘！？

　

みたいなものが要る

　

　

　

救いの風は

　

いつだって

　

吹いている

　

　

　

耳をすまして

　

音を聞け

　

考えるのをやめて

　

風を感じること

　

　

　

そしたら出口は

　

どんなときも

　

薄皮一枚

　

　

　

愛と祝福をこめて

　

光平