沈黙の言語
これを聴くためには
それ専用の
ちょっとした聴覚が要る
試しに
自然の中に入ってごらん
木々の立ち姿
葉っぱが擦れる音
風が頬を撫でる感覚
空間が広がる感じ
人間の持つ特有の想念が遮断される感じ
木々たち
葉っぱたち
大地
空
彼らは
ストーリーを持っていないんだ
ストーリーなしに
ただここに在る
それは
無言の招待状だ
沈黙して自然の中にあったらば
彼らが
君を仲間だと思うんだ
共に在れ
囁いてくる
自然の中にあって
そんなささやきが
聞こえるのなら
日常の中にあっても
その招待状を受け取れる
机が
椅子が
カーテンが
君に語りかける
自然の中よりも
それは微細だ
でも
確かに
君に語りかける
沈黙の言語で
僕たちとともに
この瞬間の
一員にならないか
そんなささやきだ
その瞬間
君はスペースになる
広大なスペースだ
君の中に
机がある
椅子がある
カーテンがある
君というスペースの中を
思考という雲が
来ては通り過ぎる
感情という雨が
来ては通り過ぎる
沈黙の言語
それは
ここに在るものたちの
共通語だ
君
共に在れ
愛と祝福をこめて
光平