あらゆる苦悩の原因

 

結局のところ
あらゆる苦悩の原因は
『私』という感覚にある
 
個人的な『私』という感覚のないところには
『あなた』という感覚もなく
このとき苦しみが起きる余地がない
 
この
『私』がない
というのはどういうことか?
 
多くの人は
『私』と肉体を同一視しているため
私がいないとは肉体死を意味しているように勘違いするかもしれない
 
しかし実際のところは
『私』という感覚と
肉体は関係がありません
 
『私』という感覚がなくても
肉体はその運命に従って行為を続けていくのです
 
今ここにいて気づきの修練をしていくと
『私』という感覚は
日常の中で出たり消えたりしていることに気がつくでしょう
 


たとえば
自分の子どもがちょっと目を離した隙に
あっと転んで頭を打ってしまったとします
 
すると
あなたは何の考えなしに
「大丈夫?」
と駆け寄ることでしょう
 
このとき
『私』という感覚なしに
事が起きている様子がわかるでしょう
 
しかしその後
(私が目を離さなければ
 きっとあの子は怪我しなかったのに・・)
(近くにいたはずの夫だって
 もっと早く気がついてよ・・)
などのように考え出しているとき
ここには『私』という感覚があるのです
 
この『私』が
過去のことを後悔したり
未来のことを想像したりします

またこの『私』が
私は何かを得たとか
失ってしまったとか言い出します
 
またこの『私』が
私はこれを楽しむとか
私はこれを悲しむとか言うのです
 

 

この『私』のないところには
人間としての悲しみもなく
喜びもありません
 
しかしそのかわり
心の平和と静寂があります
 
ここで問題となるのは
人間としての喜びのところでしょう
 
言ってしまえば
人間というのは
なかなか快楽をあきらめきれません
 
しかし
望ましいことに執着して
喜びを追い求めるなら
悲しみや絶望ももれなくついてくることに気がつくでしょう
 
快楽に執着するなら
苦痛からも離れられないことに気がつくでしょう
 
もちろん
こういった繰り返しを味わうのが
ある意味人生でもあります
 
ただ
この繰り返しがあまりに明らかになってきたある日
この一連の堂々巡りに心底飽きて
”幻滅”する日がやってきます
 
そのとき人は
本気で『私』を手放そうと思うのです
 

 

しかし
ここまで季節が熟しても
そう簡単に『私』が消える感覚は明らかになりません
 
なぜなら
『私』を手放そうと言っているのも
『私』であるし
 
今までずっと
『私』という感覚に頼って生きてきたのですから
この慣性がすぐに止むことはないのです
 
そこで人は
『私』という苦悩から逃れるべく
いろんな本を読んだり
ワークに参加したりして
突破口を探す旅に出るのです
 
そしてある日
『体験』がやってきます
 
ふいに
『私』が落ちるのです
 
それを人は悟りと呼ぶでしょう
 
『私』がいないとき
ここに悟りがあるのです
 
音が聞こえる
 
しかし
私が聞いているという感覚がない
 
景色が見えている

しかし
私が見ているという感覚がない
 
それでいて意識はクリアで
まったき静寂がここにある
 

 

 


そんな『体験』によって
 
人は
『私』がいるときといないときは
明らかに違う意識状態なのだと発見するのです 
 
それ以降は
本当の私に留まる修練がはじまるでしょう
 
『私』が消えた体験を知ったなら
そのときが『今ここ』であり
そっちが本当の私であることを知るのです
 
日常を今ここにいて
心に静寂と平和がありつつ・・・
あるとき何かのきかっけで
『私』がぐぐぐっとしゃしゃりでてくる
 
そのたびに
私は誰か?と問うて
また今ここに帰ってくる 
 
どのようにして『私』が
静寂の中から生まれてくるのかを目撃することは
ある種の喜びでさえあります
 
なぜならそれは
存在の神秘中の神秘だから
 
とにかく
『私』を静寂から引きずり出す
あらゆる傾向にただ気がつきましょう
 
そして『私』に気がつくことで
それがまた静寂へと帰っていく
 
かくして
苦悩の種は
実を結ぶ前に消えていくのです
 

 

 

あなたは本当は誰ですか?
 
名前でもなく
肉体でもなく
 
あなたのお父さんお母さんが生まれる前から
ずっとここに存在している
本当の私
 
それは一体誰ですか?
 
本当の私である静寂だけが
苦悩を終わらせて
平和をもたらします
 
真摯に探求する者には
必ず恩寵が働いて気づきが訪れます
 
誰もそれを阻むことはできません
 
あなたに真の気づきが訪れますように
 
そして実際のところ
あなた が 気づき です
 
あなた が 光 です
  
永遠の光であるあなたに
愛と祝福をこめて
光平
 
 

 

 

 

 

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