名もなき君よ

 

名もなきあなたに

 

私は会いたい

 

 

 

誰かになっているあなたではなく

 

誰でもないあなたに

 

私は会いたい

 

 

 

誰かの親でもなく

 

誰かの子でもなく

 

上司でもなく

 

部下でもなく

 

 

 

お金がないと嘆く被害者でもなく

 

愛を乞う乞食でもなく

 

過去の後悔を引きずって歩く弱者でもなく

 

自分の身を守ろうと必死な知ったかぶりでもなく

 

他者を悦ばせようとする策略者でもなく

 

 

 

どんな過去も持たない

 

誰でもないあなたに

 

私は出会いたい

 

 

 

 

 

 

名もなき君よ

 

 

 

どんな名前も持たずに生まれ

 

どんな名前も持たずに死にゆく君よ

 

 

 

昨日に生まれ

 

明日に死する命よ

 

 

 

風に揺らめく花のように

 

ただこの今を

 

生きる君よ

 

 

 

過去の遺物にしがみつくのなら

 

私は君と会うことができない

 

 

 

未来の栄光のしがみつくのなら

 

私は君と会うことができない

 

 

 

名もなき君と

 

名もなき私が出会うとき

 

そこには

 

どんな跡形も残りはしない

 

 

 

 

 

 

愛は

 

どんな跡形も

 

残しはしない

 

 

 

名もなき君と

 

名もなき私が

 

一体どんな形見を残すものか

 

 

 

なぜなら

 

愛は

 

どんな証明も必要としないのだ

 

 

 

一本の名もなき花が

 

ひっそりと去っていくように

 

 

君は

 

ひっそりと

 

息を引き取ろうとしている

 

 

 

時間は今や

 

満期に来ている

 

 

 

名前はとっくに死んでいる

 

過去の遺物を手放して

 

ここにおいで

 

 

 

名もなき君よ

 

 

 

 

 

 

 

君が名前を捨て去るとき

 

 

 

ここには

 

永遠の命が

 

煌煌と輝きを放っている

 

 

 

愛は

 

とっくに

 

ここにある

 

 

 

君がいたらば

 

愛は目覚めない

 

 

 

君がいないとき

 

愛は

 

ここに

 

ありっぱなしだ

 

 

 

これは鍵だ

 

 

 

シークレットキーだ

 

 

 

どんなあなたも手放して

 

ここにおいで

 

 

 

名もなき君よ

 

  

 

 

 

 

愛と祝福をこめて

 

光平

 

 

 

 

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